エスプリデッサンを通じて、あなたは美しい芸術の創作を楽しむと同時に、人生設計に役立つデッサンテクニックを習得できます。そのテクニックの柱になるのが、心の世界の構図を応用したエスプリ画になります。
夜空に輝く無数の星々の美しさ、秋の草原に響き渡る虫の音色に魅了される私たちの心の世界は、如何なるものなのでしょうか? まずは、静かな部屋で瞑想に耽り、自身の心の世界をじっくりと観察してエスプリデッサンが示す内的構図を理解してください。
□心の中心:一つの自己意識がマインド機能を統制している。
□心の周辺:6つのマインド機能が自律的に働いている。
直感機能:悟りたい
精神機能:社会貢献したい
思考機能:学びたい
肉体機能:生きたい
愛情機能:愛し愛されたい
集団機能:仲間になりたい
という具合に、心の働きをなんとなしに理解できるはずです。
エスプリ画をデッサンする時、自分の内世界の動きを丁寧に観察すると同時に、その内世界と外世界がどのように連動するのかに注意を向けましょう。
まずは、素直な態度で自身の心に向き合い、心の奥深い世界で何かが動いていると敏感に感じ取ってみる。それは不可視な空間において、いくつかの訴えや思いや気づきなどが存在するという感覚であり、また、内界の機能(マインド機能)が自己意識に何かを告げてくるという感覚でもあります。
生活のある場面において、自分の心の世界がどのように反応して、何を訴えかけてくるかを把握しましょう。次に、人々の心の多様性を概観し、それらの共通点に眼を向けるとき、マインド機能の形態が思い浮かんできます。たとえば、
・嫌な胸騒ぎがする →直感機能
・素朴な女性に惹かれた →愛情機能
・友達の思いやりにに感謝する→集団機能
という具合に、内からは心の認識を通して、外からは心を動かす対象の性質を把握する。その上で、他人の心と一致していると感じたり、対立していると感じたりしながら、心の特徴を理解すれば、心の構図の制作に取り掛かれます。
私たちの心の世界では、異なる役割を担うマインド機能がそれぞれ別の訴えをする一方、それらの声を聞きながら、私たちの自己意識は内界統制をしております。
心の構図が理解できたら、次ぎに、エスプリ画の基本形を覚えてください。それは心の世界のメカニズムを模写して作ったものです。
□ エスプリ画の中心(主題) ; あなたの自己意識の関心事(人生の目的など)
□ エスプリ画の周辺(キーワード); 主題に関する各マインド機能の働き
人間の心の世界の動きは、その時その時の状況にも影響されます。内的に特別な欲求・意志・義務感などが生まれた。あるいは、外的な情勢・機運・安全性などが変化したことで心は異なる動きを見せるので、エスプリ画を描く際、私たちは内界をどのように見るのか、その探鳥の立脚点となるものが必要になります。
そのため、まずはあなたの自己意識が人生の目的を定め、意識するポイントを絞りましょう。具体的には今の目的をエスプリ画の「主題」にすることで、自身の立ち位置と進むべき方向を明確にします。その主題に対して、熱心に深く静かに意識を向けていると、内界の各マインド機能は、無意識の領域で主題に関して考えを巡らせ、やがて、あなたの自己意識に何かを訴えてくるようになります。
私たちの社会は、たくさんの細かいことから成り立っており、自分の目的を強く意識していれば、新たな発見はいくらでもあります。エスプリ画の主題は、あなたが今取り組むべき重要な事柄なので、それを意識してアンテナを張っていると、日々の生活のいろいろなことから気づきを得られることは無数にあります。
心の声が聞こえたときは、まず、どのマインド機能が訴えたものかを判別しましょう。そして、そのマインド機能の役割を考えることで、訴えの意味をしっかりと理解することができます。
たとえば、調理人を目指してエスプリ画を創作している場合、マインド機能は次のような事柄に役割を見出すでしょう。
直感機能 →食材の品質
精神機能 →自然環境への配慮
思考機能 →衛生管理
肉体機能 →美味しさ
愛情機能 →おもてなしの心
集団機能 →チームワーク
マインド機能の訴えをうまく理解できないときは、関連する専門書を読んだり、情報検索したりしてみましょう。個々のマインド機能は必要と思われるキーワードに出会うと、はっとした気づきがあり、「それが重要だ!」と教えてくれます。
沢山のキーワードを見つけ出したら、エスプリ画の基本形を描き、個々のキーワードの意味に応じて、各マインド機能の領域に振り分けて下さい。そして、それぞれの領域に記入されたキーワードを集めて考えを深めると、それぞれに目標や課題が生まれます。
実際に目標や課題に向けた活動を始めて、新たな気づきがあれば、それを新たなキーワードとして、エスプリ画に加えていくと、そのエスプリ画は、あなたの自己意識の関心事(主題)に関する自らの心の世界を映し出すようになるでしょう。
元来、芸術作品は外世界に存在するものをモチーフ(人物・風景など)にして描かれる場合が多いですが、エスプリ画は、主題(自己意識の関心事)に関する意識が生み出す自己イメージや概念などの内界から生まれるものをモチーフにします。
芸術学での作品の成立条件は、創作の表現方法・テーマ・モチーフの3つ。この観点でエスプリ画をみると、表現方法は「エスプリ画」、テーマは「自己意識の関心事」、そして、モチーフは主に「心の世界」になります。