他人の賞賛や非難など一切気にしない。自分自身の感性に従うのみだ。
I pay no attention whatever to anybody's praise or blame. I simply follow my own feelings. Mozart

= 6 価値観の審判 =


【生きる意味】

 

 時代が流れ、人々の生活のあり方も変わる中で、人間の心底に潜む感情とか、無意識に生まれる感性の衝動とかをくみ取りつつ、芸術の創作を通じて、地球の生存環境や社会の時代性を表現し、解釈を加えていく。 

 

 人間の心底に潜む感情とか、無意識に生まれる感性の衝動とかについて、どれだけ深い考察をするかによって、作品に宿るエスプリ(美の叡智)が変わってくることを、自覚しなければなりません。  

 

 翻って、自身の芸術的に表現する際、「何を捧げれば、美の輝きを得られるのか?」と問い続け、自己を駆り立ててゆくと、その問いは結局、「私は、何のために生まれてきたのか?」と自身の命が存在する意味を問うことになるでしょう。

 

 それは決して社会的な成果や肩書きでは表せません。

 

・自分はどのように家族を愛してきたのか? 

・幾多の試練にどのように乗り越えたのか? 

・自分の体験をどんな風に表現したのか?

・どのように醜い力に立ち向かい、社会に貢献したのか?

 

という日々の活動の中に、自己意識の存在する意味があります。 

 

【みずみずしい自尊心】

 

 エスプリデッサンでは、私たちの自己意識が、心の世界全体を見渡しながら、どのタイミングでどのマインド機能を重視して働かせるべきかを決めるようにしていきます。たとえば、10代はスポーツと受験勉強、20代は仕事とボランティア、30代は家庭作りと子育て、40代は瞑想と健康作りに励み、50代は芸術の創作に挑戦した、という具合です。

 

直感機能(瞑想・知覚・変革・独創・発明など)

精神機能(哲学・ボランティア・救済など)

思考機能(学習・受験・研究・教育など)

肉体機能(スポーツ・芸術・美容・料理など)

愛情機能(恋愛・結婚・生活・子育てなど)

集団機能(友情・仕事・企画・起業など)

 

 私たちの自己意識は、その時期その時期の必要性に応じて、適切なマインド機能を最大限に働かせるようにし、人生を通じて最終的にはすべてのマインド機能を躍動させようとする。すべてのマインド機能を十分に働かせ、心の統合力を実感することが重要であり、それら挑戦の結果に付属してくる成功や失敗の重要性は二の次です。

 

 人生の諸々の問題を一つのマインド機能の力で一挙に解決しようとはせず、すべてのマインド機能を重視しながら人生を歩むと、心の世界を俯瞰的に見つめ、必要なとき、必要なマインド機能を活用する統合的な自己意識が育てるようにしましょう。 

 

【統合力の実感】

秩序感覚
a sense of order

 

 一つの活動に取り組む中で、一枚のエスプリ画を全身全霊を込めて描き続け、それが最高峰に達すると、絵図の調和(マインド機能のバランス)は、あなたの心の世界に静寂を生み出します。

 

 あなたの自己意識は、今の目的に適う思索的枠組みを絵図の中に作り上げているため、今の活動を土台として、新たな事柄に関心を抱くようになります。それは、今の生活スタイルを見直す時期にあるといえるため、そのような時は、今のエスプリ画を静かに眺めてください。

 

 あなたの直感機能は、エスプリ画の中に次の活動の糸口を探り出し、何らかの示唆を始めるので、新たな目的を見つけたら、新たな活動に向けて次のエスプリ画を創作する、という具合に人生を展開させていくことができます。

 

 人生を断片的な物語に終わらせず、それぞれの物語を意味深く結び合わせ、すべての心的機能を活発化させて全人的統合感を得る生き方が理想であり、生活の事情や流れに応じて、その時期に一番重要となるマインド機能を働かせつつ、最終的にすべてのマインド機能に活性化の機会を与えて下さい。

 

【マインド機能の見極め】

 

 私たちの暮らす地球の上には、きらめく宇宙があり、そこには一つの大きな何か!生命を育む絶対美の輝きが存在し、すべての命は、美と呼べる力でつながっている。また、その美の魅力に感動した人類はアートを主軸として、軽重さまざまな価値を生み出してきた。

  

 それら価値を6つのマインド機能に振り分けてみると、

 

直感機能の瞑想:純粋、調和、平常心、直感力、創造力

精神機能の救済:善意、道理、平和、正義、志、反省、徳、品格、貢献

思考機能の学習:好奇心、学習、理解、観察、根気、分析、発見、真理、教育

 

肉体機能の運動:健康、清潔、感動、表現、勇気、平等、忍耐

愛情機能の生活:愛、育児、家事、優しさ、献身、安らぎ、成長、孝行

集団機能の起業:責任、信用、忍耐、技術、改善、協力、向上

 

という具合になります。

 

 一人の人間には、これらの価値観すべてが備わる可能性があり、さらに、それらは変化したりもします。

  

【あなたを深く抱きしめる芸術】

  

 あなたは自身の尊厳を賭けて、自身の人生を作品に映し出して、人々に伝えてくれた。だから、美しい芸術はあなたを認めてくれる。 

 

 そして、芸術はいつもあなたの居場所になってくれる。創作を通じて、自身の人生をより深く意味づけしていると、自分にしか分からない胸に刻まれたかけがいのない願いや志、美しい記憶、人生哲学などが多く生まれてくる。

 

 創作家は自分自身を乗り越えて芸術に向き合わなければならない。季節の変化によって、自然物はさびれたり、枯れたり、ほころんだりと変化するが、それは自然の摂理に適った必然なもの。 創作家の人生も変化がすべてであり、その自己意識は自分の姿の移り変わりを経て、絶対美のヴィジョンを得るに達すると、高く広く躍動して「人類の心」に働きかけができるようになるでしょう。

 

 この美の真理を究めた者らの命は、人間存在の根源への復帰を果たしているが、さらに、孤独に問い続けなければならない。自分は美の輝きに認めてもらえる価値ある存在なのだろうかと。しかし、美の輝きは答えをくれない。だからこそ、私たち創作家は考え続け、表現し続け、時代をつないでゆくことになる。