自分の道を行く
Go ome's gate

【おわりに】

 すべての生命は、なぜひたむきに自己の命を引き継いでいるのでしょうか? 厳しい自然環境の中で、野生動物たちは当然の義務であるかのように、献身的に小さな命を育てています。

 

 ところが、同じ命を有する人間たちの社会を眺めれば、家庭内暴力や児童虐待が頻発し、子供にとって模範となる大人が減少しています。私たちは文化的な道徳基準や法律基準から作り上げられた社会に暮らしていますが、その枠組みだけでは解決できない人間の本質的な問題を抱えているにちがいありません。

 

 本書では、美・善・真が秘める価値について真摯に考えてきました。人間の心にこそ人間の本質が刻印されており、その心が三者と密接につながっているからです。そして実際に、美・善・真の探求に取り組めば、社会に混在している醜・悪・偽に向き合うことになるでしょう。そのため、本書では社会に潜む悪人たちの実態を明らかにして、その対処法にまで執筆を進めました。特に、

 

●悪人:法律の目をすり抜けて不徳義な行為をする人間

●罪人:法律の行為に触れた人間

 

 という具合に、悪人と罪人の違いを明確にした上で、悪人の偽らざる姿を描き出すことに腐心しました。

 

 現代社会の本質的な問題の原因は、悪人たちの「心」が生み出しているにもかかわらず、私たちはマスコミに報道される罪人たちの「行為」ばかりに意識を向けがちだからです。私たちは自由な社会に暮らしており、さまざまな選択肢がある中で判断を下し、その行動の責任を自らで負って生きています。悪人に巻き込まれて、進むべき道を誤らないためにも、社会に潜む危険性を的確に感知する必要があるのです。 



死生観
View of life and death


 ところで、人生を歩むための理論と悪人たちへの対処法を学んだとしても、まだ、高度で複雑な社会を生きていくには力不足です。現代社会に暮らす中で、自力で歩むべき道を築き上げていくためには、実践的で使い勝手が良い技術も必要になります。その実用技術の要になるのがエスプリ画のデッサンです。 

 

 あなたはエスプリ画の制作を通じて、自己の心に向き合い、心の機能を育て、豊かなイメージを得ることで、自分の道を切り開いていくことができるはずです。日常の暮らしにおいて、ただ漠然と想像を膨らませて、イメージを無駄に消費していては、確かな未来のビジョンを得ることはできません。人間は自己を知り、将来の目的を定め、必要な予備学習や情報収集を進めることで、未来の自分をイメージできるようになります。特に、大量の情報が簡単に検索できる現代においては、自分にとって有用な素材を素早く的確に集めて、エスプリ画の描画を通じて、心の世界に整然と取り込むことが重要になるはずです。

 

 最後に本書は、人生を歩むための方法論という観点から、美・善・真の価値とエスプリ画の技術に関して、詳しく解説しました。エスプリ画の描画を通じて、美・善・真の探求に励めば、芸術・道徳・科学などの諸活動にも取り組むことになりますが、個々の専門分野における詳しい解説は、他書に譲りたいと思います。 

 

 本書があなたの人生の歩みに役立ち、あなたが創造的に自らの道を切り開いていくことを心より願っています。        

 

                                               

2016年5月

                                                         ミキ ヤング 



機会分析
Analysis of opportunity

癒しの力
Healing power

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