2-1 自己基準をもたない危険性
THEME
組織にどこまで従えば良いか?
自らの行動の根拠を
他者によって決められると、
自己の意志で動けなくなる。
主体性を失うと、
自分が何者かさえ
分からなくなってしまう。
それだけではなく、
自らの生き方が
正しいことを証明するために、
第三者に対しても
他者基準を強要し始める。
1 個人の価値観
一般的に、人間は独自の価値観を形成して生活をしています。その価値観は、生きていく上での行動の根拠となるものであり、人間は自己の価値観なくして主体的に生きていくことはできません。 個人の価値観は、故郷の伝統精神、家庭のしつけ、社会の風潮などに影響されて形作られ、その人間の善悪の基準や生き方などを規定します。そして、人生の岐路に立てば、自己の価値観を根拠に、将来の選択を下すことになるでしょう。
(1)多種多様な価値観
混沌とした社会に出て活動の場を広げれば、人間はさまざまな価値観に出会います。国家の価値観、民族の価値観、企業の価値観、友人の価値観など、さまざまな価値観が、独自の価値を主張しています。あなたの価値観は、周りにある価値観と一致するとは限らないため、自己の価値観と他の価値観との間で、調整を図らなければなりません。
それでいて、自己の確固とした価値観を有しなければ、他者の価値観に頼ることになります。もし親や組織の価値観ばかりに頼っているようであれば、自己の判断力が育たず、いざという事態に直面しても、自力で困難な問題を解決できなくなってしまうでしょう。
(2)他者基準
人間は自己の確固とした価値観を有しなければ、自らの行動を評価することはできません。他者の価値観を目安に自己評価すれば、他人の称賛により喜びを感じ、他人の批判により自分が無価値と感じるようになります。ただ他人に追随しているだけであれば、やがて周りに巻き込まれたり、不満を抱えたり、悩まされたりもするでしょう。自己の確固とした判断基準をもち、自らの行動をコントロールする意志の強さがなければ、人間は自分を見失いかねません。
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